2007年4月13日金曜日

独裁制が必要な時期もある

キッシンジャーが「イラクはスンニ派、シーア派、クルド人に分かれていて、国家の状態にはない。民主主義はまだ問題外だ」といっています。("Kissinger:Democracy in Iraq is unattainable, JT,2006-11-20)。

はじめからわかっていたことです。

わたしが大学生の頃40年前には、アジアの国々は、日本とインドをのぞいては、軍事独裁制を敷いていました。軍事独裁制がおさない国民をまとめる最良の手段と考えられていました。


  • 台湾も韓国も軍事独裁制により国の秩序を維持し、苦難の末経済成長を達成し、国民も豊かになりました。そのことでお金や自分以外のことを考える余裕ができ、成長し、徐々に民主化への道を歩み始めました。あとに続く東南アジア諸国も同様です。(しかし自由が行き過ぎた場合は、タイのように国民が軍部専制回帰を選ぶこともあります。)

  • 今のシンガポールの発展は、民主主義からは生まれなかったでしょう。

  • いま中国もロシアも、民主制や自由よりも秩序を優先しています。民主主義はまだできたばかりの制度で、すべての国で最良の制度ではありません。ロシアでは、ゴルバチョフの民主化はロシアを崩壊に導いてしまい、プーチンはもとの独裁制に戻しています。

  • アメリカは戦後フィリピンに民主主義を与えて失敗しました。

  • 中南米諸国も、アメリカから与えられた民主主義、自由により、経済は破綻し社会は安定していません。

  • イラクやアラブの多くの国々には、なによりも秩序や独裁が必要です。

生まれも育ちもちがう5歳の子供の集団に必要なのは、デモクラシーやフリーダムではなく、父親によるしっかりしたしつけです。

(温家宝首相、来日を機に)