- 鈴木大拙は、
「西欧文化にはものごとを二分してしまう傾向があり、世界文化の形成におもしろからぬ影響をおよぼす。
それに反して東洋の思想には対立を超える英知がある」
と述べましたが、彼の望んだ時代はかえって遠のいているのが現状です。 - アメリカが主導するグローバル資本主義思想が世界を席巻し、
「選択と集中」
「市場主義」
「競争社会」
「規制緩和」
「構造改革」
「小さい政府」
「地方分権」
「自己責任」
などの標語が喧伝(けんでん)され、深く進行しています。 - デジタルデバイドに象徴される「選択と集中」は、少数の国、少数の都市、少数の企業、少数の人を選別し、他を切り捨てることであり、「選別と切り捨て」の別名です。
- 今や生産性の高いところと低いところの格差はひろがる一方です。世界はギスギス社会となり、無力感、閉塞感が漂い、明日への希望が見えません。
人々の身や心は痛みっぱなしです。 - しかし、これからの社会の基調は「国際協調」で、資本主義観にしても株主至上主義から従業員、顧客、地域社会、地球環境をバランスよく配慮したものになるべきです。
- 日本においても、蕉風の「不易流行」の精神に立ち戻る必要があります。
「流行」は時代とともにどんどん変化していくものですが、「不易」はグローバリズムの風潮の中にあっても変えてはならない終身雇用などの日本社会の土台です。
闇雲なギスギスした市場原理主義を相対化し、中間層をさらに厚くし、みんなが少し貧しく、人間が主人公であるようなおもいやりのあるシットリ社会をめざしたいものです。
松阪現象とワーキングプアは同根
- 強いものはより強く、弱いものはより弱く、という方向へ社会構造がどんどん変化してきています。プロ野球に国境がなくなったおかげで、松坂の年俸が10億を超えました。
- 国境がなくなり、また仕事の平準化が進んだために、時給1000円の仕事も「よその国では100円で引き受けていますよ」との声のもと、どんどん引き下げられています。
- かつてはレジでの会計は数字うちに一定の技術が必要とされましたが、いまでは商品を読み取らせるだけでOKとなり、いずれ機械が価格を自動読み取りするようになります。
企業は誰がやっても同じという仕事をどんどん拡大させています。 - 国内の雇用者数は5000万人、そのうち非正規雇用者は3分の1の1700万人を占めます。
非正規雇用者とは、パート、アルバイト、派遣、契約社員のことです。
1700万人の非正規雇用者のうち、1300万人が年収200万円以下です。
銀行の窓口業務も非正規雇用者にとってかわられつつあります。
この層はこれからも増え続けます。(「連合」の組合員700万人の年収は700万円です。「連合」は分配の不公平に声を上げていません。)
図解のヒント
- [オートシェイプ]―[フローチャート]―[せん孔テープ]。[左右反転]