2007年10月21日日曜日

五感を刺激するような体験を

立花隆『脳を鍛える』(新潮社)からの摘録です。
東大での講義を再構成したものです。
若い諸君は、海外旅行を含め、五感を刺激するような体験をする必要があります。

五感を刺激するような体験を

「発育途上の神経系に与えうる最高の教育は、五感を全部刺激するような教育である。
たった一つか二つの感覚しか訓練しなかったような人間は、哀れむべき人間の部品にすぎぬ」(リューベン・ハレック)

【桑原コメント】
今 の若者は前頭葉をもっと発達させる必要があります。
温室の日本に長くいると惰眠してしまいます。
海外の旅は五感を刺激します。
実体験に勝るものはありま せん。
環境が変わると、大脳が活性化されます。

本はとばし読みで

本というものは、一読して全部を理解する必要はない。
料理と同じで、移り箸で味見して、本当にうまいものを食べればよい。

【桑原コメント】
この本も、読みとばして興味のある箇所をチェックしておき、再読すればよいでしょう。

恋愛は破綻するもの

20歳前後の恋愛は、破綻することが多い。
それを予防はできず、対策を練ることもできない。
いちばん役に立つのは、いい恋愛小説をいくつか読んでおくことである。
恋愛にはいろんなケース、プロセスがあることがわかり、人の心の複雑さがわかる。

【桑原コメント】
ひとは手痛い体験を何度かして人生が少しずつわかってくるものです。
「青春の失敗は、人生の栄養」です。

失恋をいやすには、また失恋をすること、という人もいます。
だんだん抵抗力がついてくるからです。

生きる上で大切なこと

人間が生きる上で一番大切なことは、生きる意志であり、生きるパワーである。
生命力です。

【桑原コメント】
それよりも、使命感の方が大切でしょう。
使命感があれば生きる意志も自然にわいてきます。
使命感をもつようにつとめてください。
なければ探しだすことです。

大学はなにをするところ?

大学は自分で学ぶところである。自分で自分を教育していく自己教育の場である。

【桑原コメント】
そのためには、知的錬磨計画を練り、常に軌道を修正する作業が必要です。

必要な一般教養教育

バランスがとれた知性をもち、健全な判断力を持った本当の教養人を育てるためには、充実した一般教養教育をほどこすことが必要である。
今大学ではこれと逆 行することをやっている。
文系人には、少なくとも、「物質科学基礎」「生命科学基礎」を学ばせるべきである。

【桑原コメント】
視野狭窄(きょうさく)型の人間が大量生産されています。
数物系の知識は自分で学ぶしかありません。
本を読んで自分で勉強することの必要性がここにもあります。

インターネットが情報革命を

活版術の発明が文献の大量流布を可能にし、精神革命、思想革命、宗教革命を導き、ルネッサンスを生みだした。
インターネットも革命の起爆剤になっている。
【桑原コメント】
インターネットの普及は、活版印刷以上の大変革をこの世に及ぼしつつあります。
この革命はまだまだ続きます。

経済は下部構造ではない

あらゆるものの下部構造は、知の構造である。
知の構造が変われば、経済も政治、社会、文化もかわる。

【桑原コメント】
そして、いま人類史始まって以来の知のフレームワークが根源的に変化しようとしています。
パラダイム・シフトです。
ドキっとするほどスゴい箇所です。ここもドキスゴの箇所です。

科学の先端では大変革が進行中

科学の先端では、いま数百年に一度あるかないかというレベルの原理的大発見へ向けての挑戦が進行中で、自然の見方が根本的に変わるかもしれないところにき ている。
サイエンスに目を向けない文系知識人たちは、人間の知の世界の大変化にまったくついていけない。文系人のサイエンスの知識は、明治時代並である。

【桑原コメント】
ここもドキスゴの箇所です。
実社会では、ゼネラルに科学技術がわからないと適切な判断ができません。
科学の基礎は物理学であるのに、文系人の物理の 知識はニュートンまでの中学生レベルにとどまっています。
物理学の基礎である量子力学と相対性理論は教えてもらえません。
自学自習の必要なゆえんです。